2006年8月30日 (水)

ニジギンポの生態のお話<繁殖行動> in佐津ビーチ

私の大好きなニジギンポ。学名:Petroscirtes breviceps イソギンポ科。よくスレートに「穴好きなニジギンポ」と書く、まんがチックな顔をしたお魚さんです。(こーんな感じ→(‘ー’)) 縦型のホバリングがとっても上手いです。

P1010057_1今回は、何とイワガキの空の殻の中に卵を持ってじっとしていました。普通なら空き缶や筒、サザエの殻など、外敵が入りにくい、1個体だけがようやく入れるようなところに産卵するのですが、今回見つけたこの子の家はとっても見えやすい。この卵達はすでに黒目が見えていて、もうちょっとしたら孵化する感じですね。私たちダイバーにはうれしいものの、見えやすいどころか、他の個体もどんどん入って来れそうなお家です。この場所は初心者にもやさしい水深と位置なので、観察するには絶好の位置。こんな一等地に一軒家を構えてくれてありがとうって、とっても幸せでした。近くには産もうかなぁ~、もうええのかなぁ~って待ち構えている、お腹の大きいメスもいて、盛んにお家へ入っていました。撮影をしていると、ニコってしているのかと思いきや、いーって白い歯を見せて怒っているようです(写真でも白い歯が見えてますね)。同じような表情はオスが来たときにも見せ、必死で抵抗して一軒家を守ります。

P1010062_1ニジギンポの繁殖シーズンは6-9月。はオスが自分の一軒家を見つけ、せっせと掃除をし、メスを迎え入れる準備をします。メスがやってきて、巣の中にオレンジ色の卵を産み付けると、そこに精子をかけ、受精させます。その後、メスはどこかへ行ってしまいますが、オスは卵がふ化するまでの約10日間、一軒家でその卵を守ります。絶えずヒレを動かし卵に新鮮な水を送り、死卵があればすぐに取り除いたりとせっせと世話をしながら、卵の成長を促します。孵化するとその近くで泳いでいることが多いらしく、初夏に産まれたニジギンポベビーをオアシスでよく見かけます。

ところで、ニジギンポは一夫多妻なのですが、繁殖シーズンの前半と後半では、繁殖行動に違いが見られることで有名です。前半は、お盛んなオスがさかんにメスをお家へ誘導するように行動するのですが、後半はメスが押しかけ女房ばりに、どんどん家に押し入って産卵するのです。この生態については、4年前位に大阪市大・柴田氏によって発見されたようです。私が見た、メスがオスの家の中へずかずかはいっていくしぐさは、ちょうど後半の押しかけ女房を見たのでしょう。

ということは、今は、次々にオスの一軒家にメスが入り込んで卵を産みつけていく時期。その度に精子を出して受精させ、そして前の卵、今の卵って育てていかなくてはいけないのです。留守にすると隙あらば卵を産み落とされている現実・・・。秋口になると、その家はオレンジの卵でびっしりになります。オスはその度にあまり食事が取れない生活になりますから、こうなればメスとの知恵比べ以上に、体力勝負って感じでしょう。人間と違ってなーんてけなげなんでしょう、ニジギンポちゃんてば。(爆)

| | コメント (0)

2006年7月 7日 (金)

フィッシュウォッチング「佐津劇場」 <1> モミジガイ

P7020042_1
今日からスタートしたフィッシュウォッチング「佐津劇場」。栄えある第1回目の主役は『モミジガイ』です。本文にさりげなく入れている動画はサーバー容量の関係で1週間限定アップロードです。どなたか詳しい方がいらっしゃいましたら、デジカメ動画をアップロードする方法をご教授下さい。

■モミジガイって貝?

モミジガイって聞いて想像できますか?紅葉のような形の貝?? 実はヒトデ。はっきりとした星型、5本の足が出ています。生息域によって多種多様な色があるようですが、佐津はブルーが基調です。

■モミジガイの学名その他

学名:Astropecten scoparius
英語名:starfish (→ベタな名前やねんけど、言い得てる!)
漢字:紅葉貝
棘皮動物門ヒトデ綱モミジガイ目モミジガイ科

■モミジガイはどんな生活をしているの?

モミジガイは、佐津ビーチでは細かい砂地~泥質のところにいます。主に夜行性なのですが、曇りの日には表に出て活動していることもあります。棘皮動物特有の管足を持っていますが、他のヒトデと違って吸盤がないため、磯場では生活できず、砂地に住んでいるようです。(吸盤がないため、他のヒトデと比べて、進化の課程は原始的なのだそうです。) 動きは大変速く、しかもいったいどこを動かしているんだろうって感じで、そのままの体勢のまま、そよそよと移動します。やばい!と危険を察知したら、他のヒトデには真似できない特技、” 砂隠れの術”をします。

もし、波が来てコンコロリンと裏返ったら、いったいどうなるんでしょう?その様子は、モミジガイの”アクロバティックショー”そのものです。

好きな食べ物は砂地にいる貝の身などですが、生きているものから死んだものまで動物性のものなら何でも食べる、立派に肉食な「スカベンジャーベントス」。その性格が災いしたのか、北海道ではホッキガイの食害と駆除が行われている地域があったようで、指名手配書なるものまでありました。(ホッキガイ漁場におけるモミジガイの食害の状況と駆除の指導   北海道留萌支庁留萌北部地区水産技術普及指導所

生息域は本州なので、どこでも砂地であれば見ることができるようです。兵庫県では瀬戸内側、播磨灘でも確認されています。(播磨灘の海の生き物たち | モミジガイ

■モミジガイのあれこれ

<モミジガイに同居?>
モミジガイを良く見てみると、トゲモミジヒトデヤドリニナという、モミジガイに寄生している貝がみつかるようです。 先日観察したモミジガイにも、ミミズのような寄生虫が住んでいました。

<モミジガイと毒>
モミジガイは好き嫌いのない食欲から、バクテリアが持つ毒までも蓄積するようで、フグ毒と同じ、テトロドドキシンを持つことがあるようです。(フグ毒を持った巻き貝とヒトデ  東海大学水産学科開発過程助教授 斉藤俊郎氏) 触る分には全く大丈夫ですが、釣りや磯遊びの時に食べるのは要注意です。

| | コメント (2)